花筏

ミツルギさん曰く、『トラにパンチ!』のネタ元の一つであるという落語『花筏』
をご紹介します。
この落語、別名『提灯屋相撲』とも言います。
2009年4月に催された「かんしゃ落語会」でTheStoneAgeの坂本さんがやられてました。
記憶が薄れてますんで、復習として三代目桂米之助さん(桂米朝さんの兄弟弟子)
の音源を聞きましたが、実に面白い話です。

この物語は、まだ大阪相撲が存在していた頃のお話です。
知らない人も多いでしょうが、江戸~大正末にかけて、東京とは別に、大阪でも
独自の相撲興行をしてました。
その名残りとして新今宮のフェスティバルゲートから通天閣に向かう長い階段を
降りた所に「大阪国技館」跡があります。
谷町という地名も、相撲のスポンサーである「タニマチ」から来てます。

(あらすじ) ※例によって内容が知りたくない人も飛ばして下さい。

恰幅のいい提灯屋の徳さんの元に千田川親方が訪れます。
なんでも弟子の大関・花筏が体を患っている。しかし、既に播州高砂での興行
が決まっており、困っている。どうにか身代わりをやって欲しいとの事。
欲得ずくで、この話を受けた徳さん、いざ高砂へ。
さて、この興行には、素人ながら力自慢の千鳥ヶ浜大五郎という男が出ており、
玄人相手に勝ちを進めてます。
何の因果か、この二人、千秋楽で対戦する事に・・・。
対戦を控え、意気揚々と自宅に帰った千鳥ヶ浜。しかし父親に、「今まで勝てたのは
相手g負けてくれてたんだ。千秋楽では花筏に殺されるぞ。」と脅されます。
一方、親方にケガをしないですむ秘策を授けられ対戦に臨む徳さん。
さて、対戦・・・腰砕け状態で念仏を唱える徳さんと、徳さんの怯えた眼を殺気と
勘違いして、これまた念仏を唱える千鳥ヶ浜の、屁たれな取り組み。
さて、事の顛末は・・・。

(あらすじ終わり)

どうです。『トラにパンチ!』と共通点があるでしょう。
自分の意に介さず戦わされる徳さんの姿や、徳さんと千鳥ヶ浜との屁たれな戦いが
トラ次郎(豊田圭)と赤穂辰夫(上別府学)の状況に符合します。
また徳さんが花筏の身代わりになる所なんかも、妻のかおり(中川琴乃)の代わり
に戦う事になった辰夫の姿にかぶったりします。
更に、提灯屋の名前と、今回客演頂いた徳永さんの愛称が、どちらも徳さん。
(まぁ、これは偶然の産物でしょうが・・・。)
兎に角、落語好きのミツルギさんの面目躍如と言った所でしょうか。

ここからは蛇足ですが、舞台となっている播州・高砂。
(演者によったり、東京/大阪で、舞台の設定は違いますが)
結婚式でお馴染み「高砂や~この浦舟に帆を上げて~」の高砂です。
また相撲で高砂言えば高砂部屋が思い出されます。
この高砂部屋の開祖・高砂浦五郎(初代)は、姫路藩のお抱え力士だったそうです。
その縁あって、高砂の地名をとって名付けられたそうです。
この高砂浦五郎の初名が、高見山大五郎。落語の千鳥ヶ浜の名前も大五郎。
偶然の一致にしては出来すぎでは・・・。

あと、これは雑学ですが、タイトルにもなってる花筏。実際この名の力士が
存在していたそうです。花筏健(はないかだけん)さんという方ですが、昭和41年
の事なので、落語より後の話になります。
物語との因果関係は不明。

さて『トラにパンチ!』のネタ元とされる落語『花筏』ですが、これは
人形浄瑠璃(作:近松半二)や講談にある『関取千両幟』を元に書かれて
います。更にこの『関取千両幟』も実在の大阪の力士・猪名川政右衛門
を元に書かれたそうです。
物語は、こんな風に姿・形を変えて、受け継がれていくものなんでしょうかねぇ。
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  1. 2010/11/26(金) 15:51:04|
  2. 山名伸右
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動物園

光陰矢の如しなんて言いますが、えぇ~、早いもんで『トラにパンチ!』から1ヶ月が経とうと
しております。それとは逆に30×30『かまうな!』までは2週間と迫ってまいりました。
皆様のご来場をお待ちしております。
(ちなみにどちらのタイトルも!マークがあるのが正式でございます。蛇足ですが・・・。)

さて『トラにパンチ!』ですが、何かとブログでささやかれておりましたのが、落語『動物園』
でございます。こいつが、今回の元ネタなんじゃないかって事が。
まぁ、神ならぬ、いや作者ならぬ私には、そこん所はよく分かりませんが。

ところで、この『動物園』、お耳にした方は、いかほどいらっしゃいますか。
私も遠い昔に聞いた記憶がありますが、定かではございません。

どう頭をひねくりかえしても思い出せないもんで、家に音源かなんかないか家捜しした所、
・・・有りましたっ。
出てきましたのは、4代目桂文都さんの『動物園』。なんと大正11年収録のもの。
PCソフトに入っていたもんですが、早速、聞きますと記憶がよみがえって参りました。

話を知らない人に、大筋を・・・。(知りたくない人は飛ばして下さい。)

(あらすじ)
落語で毎度お馴染みのだらしない男。職もなくダラダラしておりますと、
何かと世話を焼いてくれる人はいるもんで、割のいい飯付きの仕事を斡旋して
くれます。男は、そのうまい話に飛びつきます。
その仕事ってのが動物園。なんでも、目玉であるトラが死んじまって困って
いる。その皮に入って、トラのふりをするってのが仕事の内容。
それからは、この男のドタバタが面白おかしく語られます。
オチは、メインイベントが『トラとライオンの猛獣ショー』と聞いた男、
びっくり仰天!!慌てふためく男にライオンが近づき、耳元で一言。
「心配するな。わしも雇われたもんや。」
(あらすじ終了)

って話です。さて『トラにパンチ!』をご覧のお方には、これが元ネタ?
確かに動物園のトラは出てきたけど? って方もあるかもしれません。

そこで更に細かい設定をば。この動物園の園長さんってのが、出てきます。
この園長さん、名前を○○さんと言います。
実は、この○○さん、いろいろバリエーションがあります。つまり、この演目の演者さん
が、ここに自分の本名を入れるんです。
桂文蝶さんの場合、池田さん。5代目桂文枝さんの場合、長谷川さん。
2代目桂枝雀さんの場合、前田さん・・・

そう、この前田さん、いや、前田君こそ、『トラにパンチ!』の飼育員の前田君に
つながるんです。そうしてみると、元ネタっていうのも頷けます。
しかし凄い裏設定。って言っても前述しました通り、作者のみ知る所で、真実は藪の中。

でも落語大好きで、自身も創作落語の台本を書いているミツルギさんなら、
そこまで考えているんではないでしょうか?
何にしろ、作品をいろんな角度から楽しんで頂ければ幸いであります。

最初に戻りますが、30×30『かまうな!』まで、あと2週間。
この公演にも、どんな裏設定が隠されているかしれません。
いろいろ楽しんで頂けると思います。
御用とお急ぎのない方は、是非ご覧下さい。ご来場お待ちしています。
  1. 2010/11/23(火) 00:44:23|
  2. 山名伸右
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Owarai Battle Field

OwaraiBattleField

トリイホールで月イチでやってるOwaraiBattleField(お笑いバトルフィールド)
に知り合いの漫才コンビワシントンが初参戦するという事で見に行きました。

日頃、演劇観劇で通い慣れた小屋ですが、落語以外のお笑いで来るのは初めて。

この企画は、メディアではまだマイナーな若手芸人の発掘を主旨としてるそうです。

出演者は、ブロンズ/シルバー/ゴールドの3ランクに分かれてます。
初出演時は、ブロンズで、審査の結果、シルバー⇒ゴールドに上っていく仕組み。
持ち時間もランクによって違い、ブロンズは、たったの1分。
シルバー3分、ゴールド5分となってます。
(知り合いのワシントンは、初参戦なので、当然ブロンズ)
つまりブロンズは、僅か1分の間に、上位ランクにあがる足がかりを作らないと
いけない。

速射砲のような会話のやり取りを展開する人とか、インパクト重視の一発芸をやる人とか
いろいろ。でもやっぱり大概、芸が荒くなるんですよね。
その中でも光るものを持ってるチームが這い上がる。まさにバトルフィールドです。

ブロンズに比べ、シルバー・ゴールドは、勝ち抜いた自信と持ち時間の長さも
あって、芸がしっかりしている。
ブロンズと比較すると、確然の差。
ネタ自体はそれ程、差がないと思うんですが、動きや喋りにメリハリがあります。
のりツッコミにしても、のってる所からツッコミに入る際に、ブロンズは切り替わりが
わかりにくい。ボケのアクションにしても、何を表現しているのかわかりにくいので、
後でツッコまれた時に客先の反応がイマイチなんですね。
つまり口先だけの芸になっている。そして客先に何も伝えようとしていない。
その点、上位ランク者は、そこら辺がうまく表現している。
練習量が違うのか、もしくは、そこの重要さに気付いてないかでしょうね。
まだ才能云々言う以前の差だと思います。

でも、これって演劇にも共通する事なんですよね。自らにフィードバックされ、反省する
事しきりです。

しかし、個性という点で言えば、皆さん素晴らしい個性の持ち主。
この中の何組かは、いずれメディアで活躍する予感を感ぜずにはいられませんでした。
ダイヤを原石から探したい方は、一度ご覧下さい。
http://owarai-b-field.under.jp/
  1. 2010/11/18(木) 21:46:01|
  2. 山名伸右
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映画でJazzを

ふたたび
ミツルギさんが、シャンソンのお話を書いていたので、こちらはJazzのお話を、
と言っても、これは映画の話。

映画『ふたたび』(塩屋俊監督、財津一郎主演)を観てきました。

まずこの映画を観ようと思ったきっかけは、インタビューに答えた財津一郎の意気込みだった。
「この映画に全て出し切った。もうこれで終わりでもいい。」
そのままの言葉ではないが、こんなニュアンスの言葉。この意気込みにまずひかれた。
次に予告編で観た出演者。
財津一郎をはじめ、佐川満男、藤村俊二、犬塚弘という老優の揃い踏み。
この渋い面子が、Jazzを奏でるといえば、観に行かざるおえない。

しかし、単なる楽しいだけのの映画ではない。
この物語には、かって"らい病"と言われたハンセン病への偏見という問題がからんでくる。
詳細は省くが、この映画でも、この病気の誤解と偏見によって、多くの人生が閉ざされていく。
遠い昔の事のようだが、悪法「らい病予防法」が廃止されたのは平成8年の事。
また法律が変わったからと言って、人の心にしみついた偏見は、今なお消えない。
この映画は、それを物語っている。
こう言った偏見は、映画『夕凪の街 桜の国』の原爆症にも描かれている。

結局、偏見を取り除くのは、法律ではなく、人の愛と絆である事をこの物語は描いている。

と言っても、全編暗い雰囲気はなく、喜劇人・財津一郎の面目躍如。決して大袈裟な演技
でなく、ペーソスたっぷりの面白さを表現している。まさに悲劇と喜劇は表裏一体である。

そして前出の面子によるバンドシーン。そこには、名サックスプレーヤー渡辺貞夫もゲスト出演。
楽しいJazzのひとときが、心をときほぐす。
個人的にはクレージーキャッツで名ベーシストと名を馳せた犬塚弘の出演にしびれた。
なんか犬塚さんの周りで今はなきクレージーのメンバーが演奏しているかの錯覚を憶えた。

そしてライブの舞台は、神戸の実在のJazzライブハウス「SONE(ソネ)」。
この店を長年ささえてきた曽根桂子さんは、映画の完成を待たず、先頃他界されたが、
映画の中でにこやかな笑顔を見せている。
Jazz好きの方、またこの映画でJazzに魅かれた人は、一度SONEを訪れてみて下さい。
http://kobe-sone.com/

そして、この映画、愛すべき作品となってます。一度ご覧下さい。
  1. 2010/11/15(月) 00:11:33|
  2. 山名伸右
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ペルシャの市場

くじら企画の『密会』で流れた曲「ペルシャの市場」が未だに耳から離れません。
そんな中、ふらりと寄った中古CDショップで、発見してしまいました。
これも運命と思い、購入してしまいました。

ペルシャの市場

この曲は、イギリスの作曲家、ケテルビーが、作った作品だそうです。
セミ・クラシックの名曲ですが、クラシックに詳しくない私は、知りませんでした。

この曲はなんとケテルビーが放送局で作曲家、アレンジャーをやってた時、ラジオ
番組のタイム合わせ用に作ったそうです。そしてラジオで発信されて大ヒットした
そうです。

『密会』の中で、主人公の男が、電波をキャッチして悩まされていましたが、
「ペルシャの市場」がラジオの電波にのって発信されていたという事実が裏設定
としてあったんではないでしょうか!?

裏設定があったかないかは定かではないし、そんな設定を知ってても知らなくても
十分楽しめる作品ですが、そんな見方もまた面白いかも。

この作品、噛めば噛むほど味が出るスルメみたいな作品です。
あなたも、もう一度噛み締めてみて下さい。
  1. 2010/11/11(木) 21:18:03|
  2. 山名伸右
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